地元特産・小松菜を保存の利くパウダーに加工し、給食に利用する――。埼玉県上尾市内の小学校で地産地消の取り組みが始まった。
小松菜を生産し、パウダーに加工したのは、市内の農業生産法人ナガホリ。近郊の耕作放棄地を所有者から借り受け、大規模な農地としてよみがえらせる取り組みを約20年前から手がけてきた。
同社が生産する小松菜は7~8年前は年2400トンにも及び、一つの生産者としては全国トップクラスの生産を誇っていた。ただ、ほかの産地との競合もあり、価格が暴落。そうしたなか、同社は販路や用途を広げるため、パウダーへの加工を始めたという。
上尾市の給食への導入は、同社の担当者が、食育の出前授業で面識があった市立大石小学校の栄養教諭に持ちかけたことがきっかけ。生鮮品の小松菜では、市内の全校分を一つの生産者から確保するのは配送などの問題から難しいが、パウダーなら保存が利き、計画的な発注が可能なため、市としても導入しやすかったという。
11月には、大石小で小松菜パウダーを使った揚げパンが提供された。きなこ揚げパンに小松菜パウダーが混ざったもので、鮮やかな緑色。子どもたちは、顔をほころばせながらあっという間に完食した。
揚げパンを食べた3年の岸井琴穂さん(9)は「見た目が緑で最初はびっくりしたけど、思っていたより甘くておいしかった。また食べたい」と話した。今後は、すいとんの生地やちくわ揚げの衣に混ぜ込むなどして利用する予定だという。(小林未来)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル